ある研究者の手記

セキュリティとかゲームとかプログラミングとかそのへん

退職します

2017年10月31日をもって,6年7ヶ月お世話になった日本IBMを退職します.

何やってたの?

最初に入社したときは研究部門(東京基礎研究所)につとめていてIBMクラウド上のログ管理のシステムやSIEM関連の開発をやっていました.2015年4月から1年半ほどIBM Tokyo SOC (Security Operation Center) で働かせていただいたのですが,いろいろな力学によって2016年9月ごろにはまた研究部門に戻っていました.

研究所では,自分はどちらかというと開発よりのプロジェクトをやることが多く,実験したり論文書いたりというようなアカデミックな活動はあまりできていません.ただ,やはりまわりは一流の研究者というか超人のような人たちが多く,色々刺激されたり勉強させてもらいました.特に学生時代の研究は我流で突き進んでいたところが少なからずあったので,改めて研究のやりかたについて学べたのはありがたかったです.

もともと学生時代にIDS(侵入検知システム)まわりをやっていたこともあり,SOCではその経験を活かしつつ, 実際の現場ではどのようになっているかということを肌感覚として大いに学ばせてもらいました. 最初の頃は純粋にアナリスト業務をやっていましたが、途中から業務効率化や分析の方が面白くなってしまい、後半はそういったツールの開発に取り組んでいました。Tokyo SOCレポート*1もほそぼそと執筆を続けさせてもらい楽しかったです.

現職どうだった?

素直に書いてみたいと思います.

  • 研究所は完全裁量労働で働く時間は相当な自由が効きましたが,一方で海外勢と一緒にやるプロジェクトだったりすると夜中の電話会議もそれなりの頻度でありました.
  • 個人的には給与に不満はありませんでした.独身一人暮らしが雑に出費しても貯金できる程度にもらっていました.
  • (少なくとも自分の周りは)仕事に対しては真摯で筋の通った方が多く,直接の人間関係で困ったことなどはほぼありませんでした.
  • 非常に古く大きい企業(創業から106年,全世界で社員数40万人弱*2 )であるため,そういった組織特有のしがらみというか壁を感じる場面は少なくなかったです.

何で辞めるの?

新しい経験を積みたくなった,というのが最も大きな理由です.

開発に従事するのもSOCで監視をするのもそれぞれ楽しさはありますが,情報セキュリティという視点でみると それぞれ局所的になってしまっているなと感じていました.一口に情報セキュリティといっても, 現実にやならければいけないことは多岐にわたりそれぞれが密に連携している...と思っています. 今後,何か一つの技術や活動に注力するとしても,一度全体を見渡して情報セキュリティの設計・実装・運用に携わってみたいと思うようになりました.

そのためには現在の会社だとどうしても「BtoBのベンダ」という立ち位置になって局所的な話になりがちになってしまうため, もっと自分が全体に責任をもって取り組めるユーザ企業でセキュリティに取り組んでみたいと思って退職を決めました.

どこに行くの?

11月1日よりCookpad社にてセキュリティエンジニアとしてお世話になる予定です.セキュリティ界隈でまたしばらく活動させて頂くことになるかと思いますし,アカデミック方面にもできれば関わり続けたいと思っております.本職の開発の方々には及ぶべくもありませんが,開発自体は割りと好きな方なのでセキュリティ関連で面白いものを作っていくということもやりたいですね.

ということで,今後共何卒よろしくお願いいたします.